急性腰痛「ぎっくり腰」の正体は年代で違う|宇都宮の鍼灸師が年齢別リスクを解説

宇都宮市桜で2013年に開業した、えん鍼灸院の院長です。

少し前、70代後半の女性が短い期間に続けて「ぎっくり腰になってしまって」と来院されました。施術前にお話をうかがう中で気になる点があったため、すぐに整形外科で画像検査を受けていただきました。すると、お二人とも圧迫骨折でした。

「ぎっくり腰だと思っていたら、実は骨折だった」。こうしたケースは、めずらしいことではありません。

ぎっくり腰は正式な病名ではありません。急に起こる腰の痛みの中には、筋肉だけでなく、ほかの原因が隠れていることがあります。

そして、どんな原因が多いかは、年代によってかなり変わります。特に50代以降の強い腰痛では、骨折などをしっかり見分けることが大切です。気になるサインがあるときは、まず整形外科を受診する必要があります。

そもそも「ぎっくり腰」と「急性腰痛」は同じもの?

「急に腰が痛くなった=ぎっくり腰」と考える方は多いですが、実はこの2つは同じ意味ではありません。

「急性腰痛」は、腰の痛みが出てから4週間以内のものをまとめた医学的な呼び方です。原因はひとつではなく、筋肉の痛み、椎間板ヘルニア、圧迫骨折、まれに腫瘍や感染症なども含まれます。

一方で「ぎっくり腰」は正式な医学用語ではなく、急に腰が痛くなった状態を表す一般的な言い方です。腰痛診療ガイドラインにも、「ぎっくり腰」という診断名はありません。

つまり、「ぎっくり腰だと思っていた」としても、実際には筋肉の問題かもしれませんし、骨折かもしれません。大切なのは、痛みの原因をきちんと見極めることです。そして、その見極めに大きく関わるのが年齢です。

急性腰痛の約85%は筋肉や関節が原因ですが、残りの15%は見逃せません

急性腰痛のうち、原因をひとつに特定できない「非特異的腰痛」は約85%といわれています。多くの方が「ぎっくり腰」とイメージするものは、この中に入ります。

ただし、残りの約15%には、はっきりした原因となる病気があります。

・椎間板ヘルニア:約4%
・圧迫骨折:約4%
・腫瘍:約0.7%

数字だけ見ると少なく感じるかもしれません。しかし、実際に急な腰痛が起きたときに、それが筋肉の痛みなのか、骨折なのかで対応は大きく変わります。だからこそ、年齢もふまえて見分けることが大切です。

年代別にみる急性腰痛の主な原因

10代〜30代

若い世代の急性腰痛では、筋肉や筋膜のこわばり、関節の負担が原因になることが多いです。

スポーツのあと、重いものを持ったあと、長い時間同じ姿勢でいたあとなどに痛みが出やすいのが特徴です。産後の方やスポーツをしている方では、骨盤まわりの関節が関係していることもあります。

多くは適切なケアで1、2回で落ち着いていきますが、20歳未満で腰痛が長く続く場合は注意が必要です。

40代〜50代

この年代では、椎間板ヘルニアが増えてきます。

椎間板は背骨の間でクッションの役割をしている組織です。年齢とともに変化しやすくなり、中の組織が飛び出して神経を圧迫すると、強い痛みやしびれが出ることがあります。

急に「ギクッ」と腰が痛くなることもありますが、お尻から太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが広がる場合は、ヘルニアの可能性も考える必要があります。

また、40代後半からは腰の関節そのものの変化による痛みも増えてきます。

若年の急性腰痛に比べ長引く傾向があります。

60代以上、とくに70代以降

高齢になるほど気をつけたいのが圧迫骨折です。骨粗しょう症が進むと、くしゃみをしたときや、小さな段差で体に軽い衝撃がかかっただけでも、背骨が骨折することがあります。

高齢の方の急な腰痛では、筋肉の痛みだけでなく、まず骨折の可能性を考える必要があります。

また、脊柱管狭窄症も60代〜70代で多くみられます。少し歩くと足が痛くなり、前かがみで休むと楽になる場合は、この病気の可能性があります。

同じ「ぎっくり腰」という言い方でも、30代と70代では、隠れている原因がまったく違うことがあります。ここはとても大事なポイントです。

鍼灸院としてできること

急性腰痛では、鍼灸がつらさをやわらげる効果が期待できます。

当院では、痛みが出たきっかけや経過をていねいにうかがい、体の状態を確認しながら、施術方針を一緒に考えていきます。

「鍼灸で何でも対応する」ではなく、「その痛みにとって何の施術方法がいちばんよいか」を一緒に考えることを、当院では大切にしています。

宇都宮市内で急性腰痛(ぎっくり腰)にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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えん鍼灸院について

えん鍼灸院は、宇都宮市桜で2013年に開業しました。

鍼灸師・柔道整復師の国家資格を持つ院長が、全日本鍼灸学会認定鍼灸師として、美容鍼をはじめ、腰痛、顎関節、自律神経など幅広いお悩みに対応しています。

美容鍼に加えて、整体、高周波、IASTM、運動療法、生活習慣のアドバイスも組み合わせながら、お一人おひとりに合った施術を心がけています。

参考文献

・腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版(日本整形外科学会・日本腰痛学会)
・GBD 2017 Disease and Injury Incidence Study, Lancet 2020(PMC7186678)
・WFNS Spine Committee 2024(PMC10911853)
・Framingham Osteoporosis Study(PMC3775665)
・AAFP: Vertebral Compression Fractures(2004)
・Red flags in LBP guidelines, European Spine Journal 2016(PMID 27376890)
・ACP・NICE 腰痛ガイドライン
・日本内科学会誌 2021「腰痛の診断と治療」(J-STAGE)
・厚生労働省「腰痛対策(健康情報サイト)」

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾患の治療や診断を保証するものではありません。
※施術効果には個人差があります。
※症状や状態によっては、医療機関の受診をおすすめする場合があります。