耳介療法(じかいりょうほう)とは? 耳つぼとの違いと、当院がフランス式を土台にする理由

栃木県宇都宮市の美容鍼・鍼専門、東京で12年この道を歩み、2013年に開院したえん鍼灸院です。

耳介(じかい)とは、顔の横に出ている耳の部分のことです。

耳介療法は、この耳に鍼などで刺激を入れる施術です。英語では「オリキュロセラピー」と呼ばれます。

当院では、フランスで生まれてまとめられた耳介療法を土台にして、体や顔の鍼と組み合わせています。

このページでは、耳介療法とは何か、耳つぼとどう違うのかをお伝えします。

まず、よくあるご質問から

耳介療法と耳つぼは同じものですか?

耳を使うところは同じです。ただ、生まれた場所と考え方に違いがあります。

耳を「体の地図」のように見る方法には、大きく2つの流れがあります。

  • フランス式(耳介療法):フランスで見つけられ、一つの方法としてまとめられました。

  • 中国式(耳鍼法〔じしんほう〕):フランスの研究が中国に伝わり、そのあと中国で独自の方法としてまとめられました。

日本で耳つぼダイエットや耳つぼジュエリー(耳に小さな粒や飾りを貼るもの)として広まったものは、中国式の考え方にもとづくものが多いと言われています。

どちらが優れているという話ではありません。同じ「耳」でも、2つの違う流れがあるということです。

当院がフランス式を土台にしているのはなぜですか?

当院では、耳を見て、押したときの痛みなどを確かめてから、施術する場所を選んでいます。この選び方が、フランス式の考え方に合っているからです。

フランス式は、お母さんのおなかの中で赤ちゃんの体ができていく順番をもとに、耳をいくつかの場所に分けています。

中国式は分け方が違うので、同じ体の部分でも、耳の図の上で場所が変わります。たとえば、心臓にあたるとされる場所は、フランス式と中国式で違います。

20年ほど前、鍼灸師のあいだで中国式がはやり、院長も試しました。その経験をふまえて、今はフランス式を使っています。

耳介療法はどのように生まれたのですか?

耳を刺激して体の不調をやわらげようとする方法は、昔から地中海のまわりの地域に伝わっていました。

今の形につながるきっかけは、1950年代のフランスです。

リヨンという町のポール・ノジェは、耳の同じ場所に焼いた跡がある患者さんが何人もいることに気づきました。その跡は、坐骨神経痛(おしりから足にかけての痛みやしびれ)をやわらげるために、昔から伝わるやり方で耳を焼いてできたものでした。

ノジェは研究を重ねて、「耳には、逆さまになった赤ちゃんのような形で、体の各部分があてはまる」という考えを発表しました。

この考えは1957年ごろから世界に知られるようになり、耳介療法として広がっていきました。

そのあと海外では、耳の決まった場所を使うやり方も生まれました。アメリカでは、依存症(やめたくてもやめられない状態)の方を支える現場で使われるNADA(ナダ)という方法があります。痛みをやわらげる目的で使われるBFAという方法もあります。

当院の施術は、これらのやり方そのものではありません。

どんなことが研究されていますか?

耳介療法は、次のようなことについて研究されています。

  • 長く続く腰の痛み

  • 眠りの質

  • あごまわりの痛みや、かむ筋肉のこわばり

研究によって、結果には幅があります。

また、耳の一部には、迷走神経(めいそうしんけい)の枝が通っています。迷走神経は、体を休めるときに働く神経の一つです。この神経が通っていることも、耳という小さな場所が注目されてきた理由の一つです。

当院では、耳介療法だけで施術を組み立てることはしません。体や顔の鍼を中心にして、それを支えるものとして組み合わせています。

耳だけで痩せますか?

満腹感が得られやすいとお声をよくいただきます。耳を刺激するだけで脂肪が減るとは、当院では考えていません。 体重のご相談では、食事や毎日の動きと合わせて考えます。

当院での進め方

  1. お話を聞きます お悩みや、耳の皮膚の状態、アレルギーがあるかどうかを確認します。

  2. 耳の反応を確かめます 耳をよく見て、押したときの反応を確かめ、その日に施術する場所を選びます。

  3. 施術します 使う本数は、施術の前にご相談して決めます。

  4. 施術の前と後で確認します 気になる動きや感じ方を、一緒に確認します。

小さな耳鍼をつけたままお帰りいただくことがあります。その場合は、1〜3日を目安に外してください。

耳への鍼は、はり師の国家資格を持つ院長が行います。耳だけを見るのではなく、お悩み全体を見て、耳をどう使うかを考えます。

回数と通い方の目安

週に1回くらいのペースで、4週間ほど続けて様子を見るのが一つの目安です。

お悩みやご都合によって変わるので、初めてのご来院のときにご相談します。

安全のために

耳への施術では、次のようなことが起こる場合があります。

  • 鍼を刺した場所や貼った場所の痛み、違和感

  • 少しの出血

  • 皮膚の赤み、かゆみ、かぶれ

  • めまいや気分の悪さ

つけたままの鍼のまわりが赤くなる、腫れる、熱を持つ、強く痛むときは、鍼を外して当院へご連絡ください。

次にあてはまる方は、ご予約の前にお知らせください。お話を聞いて、安全を第一にご案内します。

  • 耳に傷、湿疹、かぶれがある

  • 金属やテープでかぶれたことがある

  • 妊娠中、または妊娠している可能性がある

  • 血を固まりにくくする薬を飲んでいる、または、けがをしたときに血が止まりにくい

  • ご家庭に小さなお子さんがいる(外れた鍼を飲み込む事故を防ぐため)

ご予約・お問い合わせ

料金は料金ページをご覧ください。

耳介療法についての質問や、ご自身のお悩みに合うかどうかのご相談も、お気軽にお寄せください。

※施術効果には個人差があります。

参考文献

  • Gori L, Firenzuoli F. Ear acupuncture in European traditional medicine. Evid Based Complement Alternat Med. 2007. PMID: 18227925

  • Hou PW, et al. The History, Mechanism, and Clinical Application of Auricular Therapy in Traditional Chinese Medicine. Evid Based Complement Alternat Med. 2015. PMID: 26823672

  • Oleson TD, et al. An experimental evaluation of auricular diagnosis: the somatotopic mapping of musculoskeletal pain at ear acupuncture points. Pain. 1980. PMID: 7402685

  • Asher GN, et al. Auriculotherapy for pain management: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Altern Complement Med. 2010. PMCID: PMC3110838

  • Yang LH, et al. Efficacy of Auricular Acupressure for Chronic Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Evid Based Complement Alternat Med. 2017. PMCID: PMC5539928

  • Holanda da Cunha G, et al. Auriculotherapy for people with sleep disorders: A systematic review. Complement Ther Clin Pract. 2025. PMID: 40154132

  • Aroca JP, et al. Auricular acupuncture in TMD - A sham-controlled, randomized, clinical trial. Complement Ther Clin Pract. 2022. PMID: 35487130

  • Badran BW, et al. Tragus or cymba conchae? Investigating the anatomical foundation of transcutaneous auricular vagus nerve stimulation (taVNS). Brain Stimul. 2018. PMID: 29895444

  • Carter K, et al. NADA Ear Acupuncture: An Adjunctive Therapy to Improve and Maintain Positive Outcomes in Substance Abuse Treatment. Behav Sci (Basel). 2017. PMCID: PMC5485467

  • Zeliadt SB, et al. Patient Feedback on the Effectiveness of Auricular Acupuncture on Pain in Routine Clinical Care: The Experience of 11,406 Veterans. Med Care. 2020. PMID: 32826779

  • Tan JY, et al. Adverse events of auricular therapy: a systematic review. Evid Based Complement Alternat Med. 2014. PMID: 25435890

  • World Health Organization. Report of the Working Group on Auricular Acupuncture Nomenclature. 1990.